示談交渉
センター南 横浜都筑法律事務所

示談交渉

治療中の交渉

物損は全損や代車などで交渉に


交通事故で怪我をすると、本格的な示談交渉は治療で症状固定になった後ですが、物損などについて治療中に保険会社と交渉になることはあります。

物損を伴うときにその対応について治療中に保険会社から連絡が来るのが通常で、車両が全損となったり、代車が必要になったり、あるいは過失割合が問題になったりすると、交渉になりがちです。

また、治療費や休業損害に関して交渉になることもあります。

これらは、後の本格的な示談交渉に影響し、その一部をなすともいえます。


物損(全損・代車など)について


物損について交渉が生じる場合、治療中になるのが通常です。

物損の項目としては、車両の修理費、全損の場合の時価額、買替費用、代車費用、評価損(格落ち)、レッカー代、保管料、物品の損傷などがあります。

修理費の見積りが車両の時価を超えると、保険会社から経済的全損として時価額の賠償しかできないという主張が出て、時価額はいくらかという交渉が生じえます(加害者の対物超過特約が使える場合は異なります)。

代車費用は代車の必要性や期間が問題となり、保険会社が代車を認めないこともあります。

評価損(格落ち)については、保険会社が認めないことが多いです。

また、修理の範囲・方法、買替費用の範囲・相当性、車両保管料の相当性、物品の減価償却など、物損に関し状況によって様々な問題が生じえます。

物損の過失割合


加害者と被害者の双方に過失がある場合、物損の示談を治療中に先行させるなら、そのときに過失割合を確定させる必要があります。

ただし、過失割合について争いがある場合、警察の実況見分調書など刑事記録に記載された事故態様等を踏まえ交渉することになり、その刑事記録の取得には時間がかかります。

また、過失割合は人損でも問題となります。

これらのため、治療中には交渉を決着させず、人損の示談交渉まで持ち越す選択もありえます。


治療費について


治療のため通院や入院をする医療機関については、治療費を支払ってもらうために保険会社の了解を得ておくことになります。

〔参照〕 治療費・通院交通費 

病院を変えたり、入院中に個室を利用したりするときも、保険会社に連絡をして了解を取り付けます。

ただし、保険会社が治療費を否認してきて交渉になることがあり、治療費を支払っていても、その打ち切りを通告してきて交渉になることはよくあります。

治療費を保険会社が否認する場合


被害者が望む医療機関について、治療の内容、金額、あるいは時期によっては、保険会社が必要性・相当性を否定して、治療費の支払いを否認することがあります。

それでもその治療を続けると、保険会社との本格的な交渉になり、示談交渉の最終段階までもつれ込むことが多いです。

治療費打ち切りへの延長交渉


治療中、一定期間が経過すると、保険会社が治療費支払いの打ち切りの時期を通告してくることはよくあります。

被害者としては、まだ症状固定の段階とはいえないのであれば、そのことを保険会社に伝えて、治療費の支払いを延長してもらう交渉をします。


休業損害について


治療中、被害者が収入の減少について休業損害の賠償を請求すると、保険会社から、過失割合による過失相殺や、被害者側と異なる計算方法を主張されることがあります。

過失割合の問題や計算方法の争いがある場合、被害者としては、いったんは交渉し、折り合いがつかなければ、ひとまず保険会社の認める額の支払いを受けておいて、のちに損害賠償の全体像を確定させる段階で改めて交渉します。


賠償全体の示談交渉に備え


治療中に保険会社との交渉が生じる事項は、いずれも、後の損害賠償全体に関する示談交渉に影響します。

また、治療中に生じた交渉が治療中には決着せず示談交渉の最終段階までもつれ込むことがあり、あるいは訴訟での争点になることもあります。

しかも、治療の初期段階に賠償の全体像まで見渡すのは困難なことがありますし、このページで挙げたことが治療中に生じる交渉の全てとは限りません。

人身事故の被害に遭われたら、損害賠償全体に関する示談交渉に備えるためにも、なるべく早い段階で弁護士にご相談・ご依頼なさることをおすすめします。


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このページの著者

 弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)