過失割合
センター南 横浜都筑法律事務所

過失割合

交差点出合い頭の過失割合(車同士)

左方優先が基本

ただし減速なしで重い過失割合も


交差する道路を直進する車(四輪車)同士の出合い頭事故が、信号機がなく一時停止規制もない同幅員の交差点で起きた場合の過失割合の認定基準をご案内します。

左方優先(道路交通法1項1号)が基本で、ただし、交差点へ進入するときの速度も重視され、左方車減速なし・右方車減速の場合は左方車の方が重い基本過失割合となります。

また、著しい過失・重過失や、見通しがきく交差点である場合などの修正要素もあります(修正要素の補足も掲載します)。

       
左方車       
   
       
     
  右方車    
       

同速度の場合


左方車と右方車が交差点へ進入するときに同速度だった出合い頭事故では、左方優先により、基本過失割合は左方車40・右方車60とされています。

  左方車 右方車
速度 同速度
基本過失割合 40 60



左方車に著しい過失 +10  
左方車に重過失 +20  
見通しがきく交差点 -10  
夜間 -5  
右方車に著しい過失 -10  
右方車に重過失 -20
 

左方車減速・右方車減速なしの場合


交差点へ進入するときに左方車が減速し、右方車が減速しなかった出合い頭事故では、左方優先と減速の有無により、基本過失割合は左方車20・右方車80とされています。

  左方車 右方車
速度 減速 減速
なし
基本過失割合 20 80



左方車に著しい過失 +10  
左方車に重過失 +20  
見通しがきく交差点 -10  
夜間 -5  
右方車に著しい過失 -10  
右方車に重過失 -20
 

左方車減速なし・右方車減速の場合


交差点へ進入するときに左方車が減速せず、右方車が減速した出合い頭事故では、左方優先よりも減速の有無が重視され、基本過失割合は左方車60・右方車40とされています。

  左方車 右方車
速度 減速
なし
減速
基本過失割合 60 40



左方車に著しい過失 +10  
左方車に重過失 +20  
見通しがきく交差点 -10  
夜間 -5  
右方車に著しい過失 -10  
右方車に重過失 -20
 

出合い頭事故の修正要素(補足)


上記の認定基準における修正要素について補足します。

著しい過失・重過失

左方車が幅員の余裕があるにもかかわらず道路右側を通行していたことが事故の原因となっているような場合の左方車や、一方の先入が明らかな場合の他方には、著しい過失ありとしてよいとされています。
(ただし、先入の判断は慎重にする必要があろうともされています)

そのほかの著しい過失・重過失について以下のページでご説明しています。
 著しい過失・重過失    

見通しがきく交差点

見通しがきかない交差点以外の交差点です。
見通しがきかない交差点とは、進入直前に沿道の建物、駐車車両、広告塔、看板その他道路の状況等により交差道路の見通しがきかない交差点とされています。

夜間

日没時から日出時までの時間をいいます。

道路交通法の関連規定

(交差点における他の車両等との関係等)
36

  1. 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。
    • 一 車両である場合 その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という。)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車
    • 二 路面電車である場合 交差道路を左方から進行してくる路面電車
  2. 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
  3. 車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。
  4. 車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。


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このページの著者

 弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)