著しい過失・重過失
飲酒・速度違反など
飲酒による酒気帯び運転は著しい過失、酒酔い運転は重過失とされ、速度は時速15㎞以上違反で著しい過失、30㎞以上違反で重過失とされます。
バイク特有の著しい過失・重過失や、自転車の著しい過失・重過失もあります。
なお、各事由は、事故と相当因果関係にある場合のことをいいます。
著しい過失
過失割合の認定基準において、基本過失割合は事故態様ごとに通常想定される過失を考慮に入れているため、「著しい過失」とは、それを超える過失をいいます。
著しい過失の例
車両一般の著しい過失の事由として、例えば以下のようなことがあります。
- おおむね時速15㎞以上30㎞未満の速度違反(高速道路を除く)
- 酒気帯び運転(血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上にアルコールを保有する状態)
- 脇見運転等著しい前方不注視
- 著しいハンドル・ブレーキ操作不適切
- 携帯電話等の無線通話装置を通話のため使用したり、画像を注視したりしながら運転
重過失
「重過失」とは、著しい過失よりもさらに重い、故意に比肩する重大な過失をいいます。
重過失の例
車両一般の重過失の事由として、例えば以下のようなことがあります。
- おおむね時速30㎞以上の速度違反(高速道路を除く)
- 酒酔い運転(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)
- 居眠り運転
- 無免許運転
- 過労、病気及び薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある場合
バイク特有の著しい過失・重過失
バイクは、運転者にヘルメット着用が義務づけられていることや、運転の体勢が問題となり得ることから、バイク特有の著しい過失や重過失の事由があります。
バイク特有の著しい過失
ヘルメット不着用
(それが頭部外傷など損害拡大に寄与しているようなときに、「著しい過失」に準じて、バイク側の過失を加算修正するのが相当であろうとされています)
バイク特有の重過失
- ことさら危険な体勢での運転
- 高速道路におけるヘルメット不着用
自転車の著しい過失・重過失
自転車の著しい過失・重過失の事由として、例えば以下のようなことがあります。
自転車の著しい過失
- 酒気帯び運転
- 2人乗り
- 無灯火
- 並進
- 傘を差すなどしてされた片手運転
- 脇見運転等の著しい前方不注視
- 携帯電話等の無線通話装置を通話のため使用したり、画像を注視したりしながら運転すること
自転車の重過失
- 酒酔い運転
- いわゆる「ピスト」等の制動装置不良
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)