治療期間中の注意点
治療は賠償問題を考慮して
交通事故で怪我をした場合の治療は、その怪我を治すという本来的な目的がありますが、さらに、以下の賠償問題の観点が加わります。
- 必要・相当な治療費が損害賠償の対象となる。
- 症状・診断・治療等の経過が後の損害賠償に影響することがある。
交通事故では、これら賠償問題を考慮して治療を受ける必要があり、そのための以下の注意点があります。
治療を早期に開始する
救急車で病院へ搬送されればそのときから治療は開始しますが、病院へ搬送されるほどでなかった場合、ご自分で病院へ行かなければ治療は始まりません。
ご自分では大丈夫だと思っていても、実は治療を要する怪我をしていることがあります。
怪我を治すためにはもちろん、症状・診断・治療等の記録を残すためにも、治療を早期に開始することをおすすめします。
なお、治療に関しては、以下の各ページをご参照いただければと思います。
治療を継続する
治療を開始したあと、しかるべき治療を続けないでいると、症状が改善したためではないかと思われる可能性があります。
もちろん、仕事等の事情を優先するのはご自身の判断ですが、損害賠償への影響という観点からは、治療を継続するのが得策です。
自覚症状を漏らさず告げる
治療中、怪我の自覚症状について医師に漏らさず告げ、漏らさず診断書やカルテ等に記載してもらうことは、とても重要です。
ところが、治療中に自覚症状を告げるうえでは、実際には細心の注意が必要となることがあります。
たとえば、手の痺れが複数箇所あって、それぞれ異なる神経による痺れでも、強く痺れているほうだけ告げてしまうことがあります。
他の箇所の痺れは、医師に告げるまで記録されず、そのことが後の損害賠償に影響することがあり得ます。
医師の指示に従う
症状固定までの間、医師からは、次の受診の時期やリハビリ等について指示が出されることがあります。
その指示に従わなかった場合、治療の必要性の有無について判断材料とされる可能性があります。
治療と損害賠償の両方の観点から、医師の指示に従うのが得策です。
医師と保険会社の見解が異なることも
治療の必要性・相当性や症状固定の時期について、医師と保険会社の見解が異なることもあります。
そのような事態に備えるためにも、弁護士に早めにご相談なさることをおすすめします。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)