自転車と左折車・対向方向の過失割合
交差点で対向の場合
直進自転車と左折車の過失割合
直進自転車と、対向方向の左折車(四輪車)の事故が、信号機のない交差点で発生した場合の認定基準をご案内します。
基本過失割合は、自転車15・車85とされ、状況による修正要素も設けられています。
大回り左折などで修正
自転車の基本過失割合15%で、車の大回り左折などによって自転車に有利に修正されます。
車 | |||
自転車 | → | 左折 | |
自転車 | 車 | ||
左折か直進か | 直進 | 左折 | |
基本過失割合 | 15 | 85 | |
修 正 要 素 *は修正要素としない |
夜間 | * | |
自転車に著しい過失 ・重過失 |
+5 ~10 |
||
自転車が児童等 ・高齢者 |
-10 | ||
車が大回り左折 ・進入路鋭角 |
-10 | ||
車が合図遅れ | -5 | ||
車が合図なし | -10 | ||
自転車が自転車横断帯 | -10 | ||
自転車が横断歩道 | -5 | ||
車が他の著しい過失 ・重過失 |
-5 ~10 |
自転車と対向左折車の修正要素
上記の認定基準における修正要素について補足します(上記の表で「*」は修正要素としません)。
児童等・高齢者
児童等はおおむね13歳未満、高齢者はおおむね65歳以上をいいます。
車の大回り左折・進入路鋭角
これらについては、自転車に誤解を与える要素が大きく、車は一層の注意が必要とされています。
車の合図遅れ
合図が著しく遅れ、このため合図がほとんど意味をなさないような場合は、合図なしに準じます。
車の合図なし
合図を行う時期は、交差点の手前の側端から30m手前の地点に達したときと定められています(道路交通法53条1項・3項・施行令21条)。
自転車横断帯
自転車が自転車横断帯を通行している場合のほか、自転車横断帯に隣接して設けられている横断歩道を通行している場合や、それ以外の自転車横断帯と同視しうる場所を通行している場合も含むとされています。
横断歩道
自転車が、自転車横断帯に隣接していない横断歩道を通行している場合が想定されています。
自転車の特徴(速度など)
自転車は、普通の速度が車やバイクよりも遅く、また、免許不要で児童等も運転するなどの特徴があり、それらが車との過失割合認定基準に影響しています。
速度に関しては、自転車が普通の速度(時速15㎞程度)を大幅に超える場合(時速30㎞程度が目安)は「バイクと車」の過失割合認定基準を参考にして検討し、他方、低速の自転車(おおむね時速10㎞以下)については「歩行者」と同視し得る余地があるとされています。
道路交通法の関連規定
34条1項
車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
53条
- 車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第4項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
- (省略)
- 前2項の合図を行う時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。
- 車両の運転者は、第1項又は第2項に規定する行為を終わつたときは、当該合図をやめなければならないものとし、また、これらの規定に規定する合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない。
施行令21条(抜粋)
法第53条第1項に規定する合図を行う時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。
合図を行う場合 | 合図を行う時期 |
左折するとき。 | その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。 |
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)