自転車と車・一時停止無視の過失割合
自転車と車の過失割合
一時停止無視・交差点
一時停止無視による、自転車と車との事故の過失割合の認定基準をご案内します。
信号機のない交差点を直進しようとしたところ、相手が交差する道路から一時停止無視をしてきて衝突した場合で、一時停止規制が車にあるか自転車にあるかで分類されます。
基本過失割合は、車の一時停止無視は90%、自転車の一時停止無視は40%とされています。個別事情による修正があり、一時停止規制のある側が一時停止した場合は修正されます。
一時停止規制が車にある場合
車の一時停止無視による事故の基本過失割合は、自転車10、車90とされています。
← | 自転車 | |||
↑ | ||||
車 | 停止線 | |||
自転車 | 車 | ||
一時停止規制の有無 | 無 | 有 | |
基本過失割合 | 10 | 90 | |
修 正 要 素 *は修正要素としない |
夜間
|
* | |
車が一時停止
|
+10 | ||
自転車が右側通行・ 左方から進入 |
+5 | ||
自転車に著しい過失
|
+10 | ||
自転車に重過失
|
+15 | ||
自転車が児童等 ・高齢者 |
-5 | ||
自転車が一時停止
|
* | ||
自転車が自転車横断帯
|
-5 | ||
自転車が横断歩道
|
* | ||
車に著しい過失
|
-5 | ||
車に重過失
|
-10 |
一時停止規制が自転車にある場合
自転車の一時停止無視による事故の基本過失割合は、自転車40、車60とされています。
← | 車 | |||
↑ | ||||
自転車 | 停止線 | |||
自転車 | 車 | ||
一時停止規制の有無 | 有 | 無 | |
基本過失割合 | 40 | 60 | |
修 正 要 素 * は修正要素としない |
夜間
|
+5 | |
車が一時停止
|
* | ||
自転車が右側通行・ 左方から進入 |
+5 | ||
自転車に著しい過失
|
+10 | ||
自転車に重過失
|
+15 | ||
自転車が児童等
・高齢者
|
-10 | ||
自転車が一時停止
|
-10 | ||
自転車が自転車横断帯
|
-10 | ||
自転車が横断歩道
|
-5 | ||
車に著しい過失
|
-10 | ||
車に重過失
|
-20 |
過失割合の修正要素(補足)
上記の認定基準における修正要素について補足します(上記の表で「*」は修正要素としません)。
一時停止
上記の認定基準は、一時停止義務違反があることを前提とし、そのため一時停止をしたことは修正要素とされています。
夜間
日没時から日出時までの時間をいいます。
車が無灯火の場合や、自転車から車の前照灯の照射が認識できない形状の交差点の場合は自転車の加算要素にならず、車が無灯火の場合は自転車の減算要素になるとされています。
自転車右側通行・左方から進入
見通しがきく交差点や、自転車が自転車横断帯を通行している場合は、この修正は行わないとされています。
児童等・高齢者
児童等はおおむね13歳未満、高齢者はおおむね65歳以上をいいます。
自転車横断帯
自転車が自転車横断帯を通行している場合のほか、自転車横断帯に隣接して設けられている横断歩道を通行している場合や、それ以外の自転車横断帯と同視しうる場所を通行している場合も含むとされています。
横断歩道
自転車が、自転車横断帯に隣接していない横断歩道を通行している場合が想定されています。
自転車の特徴(速度など)
自転車は、普通の速度が車やバイクよりも遅く、また、免許不要で児童等も運転するなどの特徴があり、それらが車との過失割合認定基準に影響しています。
速度に関しては、自転車が普通の速度(時速15㎞程度)を大幅に超える場合(時速30㎞程度が目安)は「バイクと車」の過失割合認定基準を参考にして検討し、他方、低速の自転車(おおむね時速10㎞以下)については「歩行者」と同視し得る余地があるとされています。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)