過失割合
センター南 横浜都筑法律事務所

過失割合

自転車と右折車・対向方向の過失割合

車の既右折で自転車に加重

交差点の対向車線


自転車が交差点を直進していたところへ、対向車線から車(四輪車)が右折してきて衝突した事故について、過失割合の認定基準をご案内します(信号機のない交差点)。

基本過失割合は自転車10・車90で、車の「既右折」などが自転車の加重要素、車の「直近右折」「早回り右折」「大回り右折」などが車の加重要素とされています。

自転車横断帯なら減算修正


自転車と対向右折車の事故状況図と、過失割合の認定基準は以下のとおりで、自転車横断帯の通行は自転車の減算修正要素とされています。

         
         
    右折     
           
    直進      
         
    自転車      

  自転車
右折か直進か 直進 右折
基本過失割合 10 90





*は修正要素としない
夜間  
車が既右折 +10  
自転車に著しい過失
    ・重過失
+5
~10
 
自転車が児童等
    ・高齢者
-10  
車が右折禁止違反 -10  
車が徐行なし   -10  
車が直近右折   -10  
車が合図なし   -10  
車が早回り右折・
   大回り右折  
-10  
自転車が自転車横断帯 -5  
自転車が横断歩道  
車に他の著しい過失
    ・重過失
-5
~10
 

自転車と対向右折車の修正要素


上記の認定基準における修正要素について補足します(上記の表で「*」は修正要素としません)。

夜間

日没時から日出時までの時間をいいます。
車が無灯火の場合や、自転車から車の前照灯の照射が認識できない形状の交差点の場合は自転車の加算要素にならず、車が無灯火の場合は自転車の減算要素になるとされています。

既右折

直進側が交差点に進入する時点で、右折側が右折を完了していること又はそれに近い状態にあることをいいます。

児童等・高齢者

児童等はおおむね13歳未満、高齢者はおおむね65歳以上をいいます。

右折禁止違反

道路標識等により禁止されている右折をすることです。

徐行なし

徐行は、右左折車については、右左折車としての通常の速度を意味し、必ずしも法律上要求される徐行(道路交通法34条1項・2項・2条1項20号)でなくてもよいとされています。

直近右折

直進側の至近距離で右折する場合です。

合図なし

直進側からみて対向車が右折することが明らかな場合は、制限的に適用すべきとされています。

早回り右折

交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を進行しない右折をいいます(道路交通法34条2項)。

大回り右折

あらかじめ道路の中央に寄らない右折をいいます(道路交通法34条2項)。

自転車横断帯

自転車が自転車横断帯を通行している場合のほか、自転車横断帯に隣接して設けられている横断歩道を通行している場合や、それ以外の自転車横断帯と同視しうる場所を通行している場合も含むとされています。

横断歩道

自転車が、自転車横断帯に隣接していない横断歩道を通行している場合が想定されています。このページの認定基準では修正要素とされていません。

自転車の特徴(速度など)


自転車は、普通の速度が車やバイクよりも遅く、また、免許不要で児童等も運転するなどの特徴があり、それらが車との過失割合認定基準に影響しています。

速度に関しては、自転車が普通の速度(時速15㎞程度)を大幅に超える場合(時速30㎞程度が目安)は「バイクと車」の過失割合認定基準を参考にして検討し、他方、低速の自転車(おおむね時速10㎞以下)については「歩行者」と同視し得る余地があるとされています。

道路交通法の関連規定

34条1項・2項

  1. 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
  2. 自動車、一般原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。

2条1項20号
徐行 車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。



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このページの著者

 弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)