後遺障害逸失利益
計算は障害の影響と期間を想定
交通事故の後遺障害逸失利益とは、本来は得られるはずだったのに、後遺障害によって得ることができなくなった(逸失した)利益のことです。
後遺障害逸失利益を計算する一般的な計算式は次の通りです。
〔後遺障害逸失利益の一般的な計算式〕 |
基礎収入×労働能力喪失率 ×労働能力喪失期間の中間利息控除係数 |
この計算は、収入に対する後遺障害の影響(労働能力喪失率)と、その影響が継続する期間(労働能力喪失期間)を将来にわたって想定するものとなっています。
なお、逸失利益は「得べかりし利益」ともいわれます。
逸失利益は将来にわたる
後遺障害は損害賠償のときより先まで残り、後遺障害逸失利益は、症状固定から賠償時点までの分も含まれますが、多くの分部は将来にわたるのが通常です。
そのため、後遺障害逸失利益の計算では、上記のとおり後遺障害の影響(労働能力喪失率)やその影響が継続する期間(労働能力喪失期間)について、将来にわたる想定を用いることになります。
それらは、まだ到来していない将来のことですので、基礎収入とともに、被害者と加害者との間で争いになりがちです。
後遺障害逸失利益の計算要素
後遺障害逸失利益を計算する一般的な計算式は次の通りです。
〔後遺障害逸失利益の一般的な計算式〕 |
基礎収入×労働能力喪失率 ×労働能力喪失期間の中間利息控除係数 |
各計算要素についてご説明し、解説ページをご案内します。
逸失利益の基礎収入
逸失利益を計算するうえで、後遺障害がなければ得られたであろうと評価できる収入額(年収)を計算の基礎とし、これを基礎収入といいます。
以下のページで解説します。
逸失利益の基礎収入
逸失利益の労働能力喪失率
後遺障害の影響で労働に生じる支障の割合(逸失利益が生じる割合)です。
以下のページで解説します。
逸失利益の労働能力喪失率
逸失利益の労働能力喪失期間
後遺障害の影響による労働への支障が継続する期間であり、その期間分の逸失利益を計算することになります。
以下のページで解説します。
逸失利益の労働能力喪失期間
逸失利益の中間利息控除
後遺障害逸失利益は将来得られるはずだった利益を前倒しで現在受け取るので、将来の利息(中間利息)を控除する計算をします。
ライプニッツ係数による中間利息控除の計算について以下のページに掲載します。
ライプニッツ係数による
中間利息控除
後遺障害逸失利益の計算例
例えば、
基礎収入600万円、
後遺障害12級で労働能力喪失率14%、
症状固定時に40歳で、
労働能力喪失期間を67歳までの27年間
として逸失利益を計算してみます。
事故発生が令和2年3月31日以前か同年4月1日以降かにより以下のようになります。
事故発生が令和2年3月31日以前の場合
600万円×14%
×27年間のライプニッツ係数14.6430
=1230万0120円
事故発生が令和2年4月1日以降の場合
600万円×14%
×27年間のライプニッツ係数18.3270
=1539万4680円
賃金センサスによる逸失利益の計算
後遺障害逸失利益は、政府の統計である賃金センサスを使って計算することがあり、以下のページで解説します。
賃金センサスによる
逸失利益の計算
後遺障害14級の逸失利益
後遺障害の等級認定中で最も件数が多く、最も等級が低い14級の逸失利益について、以下のページでご案内します。
後遺障害14級の逸失利益
会社役員の逸失利益
会社役員の後遺障害逸失利益に関し、裁判例を以下のページでご紹介します。
会社役員の逸失利益
事故後に減収がない場合の逸失利益
事故後に経過した期間に減収がない場合でも後遺障害逸失利益が認められるかについて、以下のページでご説明します。
減収がない場合の逸失利益
後遺障害逸失利益の解決事例
後遺障害逸失利益などの解決事例を以下のページに掲載しています。
解決事例①逸失利益など
さらに具体的には、ご相談いただけますでしょうか。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)