ライプニッツ係数による中間利息控除
中間利息控除の計算方法は複数提唱されていますが、現在は「ライプニッツ係数」と呼ばれる係数を用いることが多く、以下の計算式の「中間利息控除係数」に、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数の数値をあてはめます。
〔後遺障害逸失利益の一般的な計算式〕 |
基礎収入×労働能力喪失率 ×労働能力喪失期間の中間利息控除係数 |
ライプニッツ係数一覧
事故発生が令和2年(2020年)4月1日以降の場合のライプニッツ係数一覧を掲載します(小数点以下5桁目を四捨五入しています)。
被害者が18歳以上の場合に適用されるライプニッツ係数であり、18未満のライプニッツ係数はここから開きます(18歳までの期間分を差し引きます)。
令和2年(2020年)3月31日までに発生した事故については、数値が異なります。
ライプニッツ係数(中間利息控除係数)
年数 | ライプニッツ係数 | 年数 | ライプニッツ係数 | |
1 | 0.9709 | 36 | 21.8323 | |
2 | 1.9135 | 37 | 22.1672 | |
3 | 2.8286 | 38 | 22.4925 | |
4 | 3.7171 | 39 | 22.8082 | |
5 | 4.5797 | 40 | 23.1148 | |
6 | 5.4172 | 41 | 23.4124 | |
7 | 6.2303 | 42 | 23.7014 | |
8 | 7.0197 | 43 | 23.9819 | |
9 | 7.7861 | 44 | 24.2543 | |
10 | 8.5302 | 45 | 24.5187 | |
11 | 9.2526 | 46 | 24.7754 | |
12 | 9.9540 | 47 | 25.0247 | |
13 | 10.6350 | 48 | 25.2667 | |
14 | 11.2961 | 49 | 25.5017 | |
15 | 11.9379 | 50 | 25.7298 | |
16 | 12.5611 | 51 | 25.9512 | |
17 | 13.1661 | 52 | 26.1662 | |
18 | 13.7535 | 53 | 26.3750 | |
19 | 14.3238 | 54 | 26.5777 | |
20 | 14.8775 | 55 | 26.7744 | |
21 | 15.4150 | 56 | 26.9655 | |
22 | 15.9369 | 57 | 27.1509 | |
23 | 16.4436 | 58 | 27.3310 | |
24 | 16.9355 | 59 | 27.5058 | |
25 | 17.4131 | 60 | 27.6756 | |
26 | 17.8768 | 61 | 27.8404 | |
27 | 18.3270 | 62 | 28.0003 | |
28 | 18.7641 | 63 | 28.1557 | |
29 | 19.1885 | 64 | 28.3065 | |
30 | 19.6004 | 65 | 28.4529 | |
31 | 20.0004 | 66 | 28.5950 | |
32 | 20.3888 | 67 | 28.7330 | |
33 | 20.7658 | 68 | 28.8670 | |
34 | 21.1318 | 69 | 28.9971 | |
35 | 21.4872 | 70 | 29.1234 |
ライプニッツ係数による計算例
令和2年(2020年)4月1日以降に発生した事故で、たとえば、
- 基礎収入600万円、
- 後遺障害12級で労働能力喪失率14%、
- 症状固定時に40歳で労働能力喪失期間を67歳までの27年間
として後遺障害逸失利益を計算する場合、以下のようになります。
600万円×14%
×27年間のライプニッツ係数18.3270
=1539万4680円
なぜ中間利息控除をするのか
なぜ中間利息を控除するのかというと、後遺障害逸失利益の賠償は、将来得られるはずだった利益についての損害賠償を前倒しで現在受け取るので、そこへ利息(中間利息)が発生していくと、過大になってしまうためです。
そこで、賠償される将来の利益額について、労働能力喪失期間に年々発生する中間利息を、損害賠償請求権が生じた時点における法定利率により控除して、現在価値に換算するのが中間利息控除です(民法722条1項・417条の2第1項)。
ライプニッツ係数使用の裁判所提言
ライプニッツ係数は法定利率から複利計算をする仕組みになっていて、このほか単利計算のホフマン係数と呼ばれる中間利息控除係数も提唱されています。
そのような中で、東京地裁・大阪地裁・名古屋地裁の交通事故訴訟専門部は、平成11年に、特段の事情のない限りライプニッツ係数を使用するという共同提言を出しました。
それまでは、東京地裁はライプニッツ係数を原則とし、大阪地裁はホフマン係数を原則とするなどばらつきがあったところ、運用を統一したものです。
現在、弁護士の多くや保険会社も、ライプニッツ係数を用いて中間利息を控除しています(ただし、小数点以下の桁数に違いが出ることはあります)。
喪失率を段階的に減らす場合
後遺障害逸失利益の計算では、事案によっては期間の途中で段階的に労働能力喪失率を減らすことがあります。
その場合、最初の喪失率の期間については、その期間に対応するライプニッツ係数を用います。
その後の喪失率を減らした期間については、それ以前からの全期間に対応するライプニッツ係数から、喪失率を減らす前までの期間に対応するライプニッツ係数を差し引きます。
関連法令
民法417条の2(中間利息の控除)1項
将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
民法722条1項
第417条及び第417条の2の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
関連ページのご案内
さらに具体的には、お問い合わせいただけますでしょうか。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)