車線変更の過失割合(車同士)
車線変更車と後続直進車
速度違反などで修正
車線変更車と後続直進車の事故が、車(四輪車)同士で発生した場合について過失割合の認定基準をご案内します。
車線変更車の過失が基本としては重く、後続直進車に速度違反があれば修正し、その他の状況や著しい過失・重過失による修正も設けられています。
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車B | |||
車線変更 | |||
← | 車A |
車A | 車B | ||
走行態様 | 後続 直進 |
車線 変更 |
|
基本過失割合 | 30 | 70 | |
修 正 要 素 |
Aがゼブラゾーン進行 | +10 ~20 |
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Aが15㎞以上速度違反 | +10 | ||
Aが30㎞以上速度違反 | +20 | ||
Aが他の著しい過失 | +10 | ||
Aが他の重過失 | +20 | ||
進路変更禁止場所 | -20 | ||
Bが合図なし | -20 | ||
Aが初心者マーク等 | -10 | ||
Bに他の著しい過失 | -10 | ||
Bに重過失 | -20 |
速度差の前提
上記の認定基準は、車線変更車と後続直進車に速度差があることを前提としています。
すなわち、後続直進車の方が高速であるか、車線変更車が減速するか、または後続直進車が加速中であるかのいずれかです。
車線変更事故の修正要素(補足)
上記の認定基準における修正要素について補足します。
著しい過失・重過失
以下のページでご説明しています。
著しい過失・重過失
ゼブラゾーン
通行はできますが、みだりに進入すべきでないというのが一般的な意識という考えで修正要素とされています。
進路変更禁止場所
車線が進路変更の禁止を表示する道路標示によって区画されている場合です(道路交通法26条の2第3項)。
合図なし
車線変更しようとするときは、その3秒前に合図を出すべきと定められています(道路交通法53条1項・3項・施行令21条)。
初心者マーク等
初心者マークのほか、シルバーマーク、身体障害者標識、仮免許練習運転標識をいいます。
道路交通法の関連規定
(進路の変更の禁止)
26条の2
- 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
- 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
- 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によって区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
- 一 第40条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
- 二 第40条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従って通行しようとするとき。
(3項記載40条=緊急自動車の優先)
(合図)
53条
- 車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第4項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
- (省略)
- 前2項の合図を行う時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。
- 車両の運転者は、第1項又は第2項に規定する行為を終わつたときは、当該合図をやめなければならないものとし、また、これらの規定に規定する合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない。
施行令21条(抜粋)
法第53条第1項に規定する合図を行う時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。
合図を行う場合 | 合図を行う時期 |
同一方向に進行しながら進路を左方に変えるとき。 | その行為をしようとする時の三秒前のとき。 |
同一方向に進行しながら進路を右方に変えるとき。 | その行為をしようとする時の三秒前のとき。 |
(
道路交通法を見る)
(
道路交通法施行令を見る)
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)