過失割合
センター南 横浜都筑法律事務所

過失割合

右折車と交差直進車の過失割合・一時停止規制

一時停止規制のある交差点

車同士の過失割合


右折車と、交差道路の直進車との事故が、一方に一時停止規制のある信号機のない交差点で起きた場合について、過失割合の認定基準をご案内します(四輪車同士について)。

基本過失割合と、状況による修正要素があり、一時停止規制のある側の一時停止後進入は修正要素になります。

一時停止規制が右折側にある場合


基本過失割合は、直進車(A)15、右折車(B)85とされています。

           
車A        
       
        車A
  右折  
  車B 停止線  
           

  車A 車B
走行態様 直進 右折
一時停止規制の有無
基本過失割合 15 85



Aが減速せず +10  
〈Aが左方のとき〉
 Bが既右折
+15  
Bが一時停止後進入 +15  
Aが15㎞以上の速度違反 +10  
Aが30㎞以上の速度違反 +20  
Aに他の著しい過失 +10  
Aに他の重過失 +20  
Bが徐行なし -10  
Bが右折禁止違反 -10  
〈Aが右方のとき〉
 Bが早回り右折
-10  
Bに他の著しい過失 -10  
Bに重過失 -15  

一時停止規制が直進側にある場合


過失割合の認定基準は、右折車が直進車の左方か右方かで分類されます。

右折車が左方の場合

           
車B          
右折      
           
   
  車A 停止線  
           

  車A 車B
走行態様 直進 左方で
右折
一時停止規制の有無
基本過失割合 70 30





*は修正要素としない
Aが減速せず +10  
   既右折  
Aが15㎞以上の速度違反 +10  
Aが30㎞以上の速度違反 +20  
Aに他の著しい過失 +10  
Aに他の重過失 +20  
Bが徐行なし -10  
Bが右折禁止違反 -10  
Bが早回り右折 -15  
Aが一時停止後進入 -15  
Bに他の著しい過失 -10  
Bに重過失 -15  

右折車が右方の場合

           
           
       
      右折 車B
     
  車A 停止線  
           

  車A 車B
走行態様 直進 右方で
右折
一時停止規制の有無
基本過失割合 60 40





*は修正要素としない
Aが減速せず +10  
Bが既右折 +15  
Aが15㎞以上の速度違反 +10  
Aが30㎞以上の速度違反 +20  
Aに他の著しい過失 +10  
Aに他の重過失 +20  
Bが徐行なし -10  
Bが右折禁止違反 -10  
早回り右折  
Aが一時停止後進入 -15  
Bに他の著しい過失 -10  
Bに重過失 -20  

過失割合の修正要素(補足)


上記の認定基準における修正要素について補足します(上記の表で「*」は修正要素としません)。

著しい過失・重過失

以下のページに掲載しています。
 著しい過失・重過失     

減速

法定の徐行(道路交通法2条1項20号)の程度に達している必要はないが、その道路を通行する車両の通常の速度(制限速度参考)より明らかに減速していることをいうとされています。

既右折

直進車が交差点に進入する時点で、右折車が右折を完了していること又はそれに近い状態にあることをいいます。

一時停止後進入

停止位置で一旦停止すれば直ちに一時停止と認められるわけではありません。
過失割合が軽くなるのは、一時停止をし、左右を見て交差道路を進行する車両の接近を認めたけれど、その速度と距離の判断を誤って、低速度で交差点に進入し、減速しなかった相手と衝突した場合が想定されています。
法規定や裁判例は以下をご参照下さい。
 一時停止したかどうか   

徐行なし

徐行とは、車両が直ちに停止することができるような速度で進行することです(道路交通法2条1項20号)。右左折車については、右左折車としての通常の速度を意味し、必ずしも法律上要求される徐行(同法34条1項・2項・2条1項20号)でなくてもよいとされています。

右折禁止違反

道路標識等により禁止されている右折をすることです。

早回り右折

交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を進行しない右折をいいます(道路交通法34条2項)。



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このページの著者
  弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)