過失割合
センター南 横浜都筑法律事務所

過失割合

T字路で右折同士の事故の過失割合

一時停止規制あれば右折と右折で基本25対75


T字路交差点で、直線路から脇道へ右折する車と、その脇道から、一時停止規制があって直線路へ右折してきた車とが衝突・接触した右折同士の事故の過失割合は、直線路からの右折車25、直線路への右折車(一時停止規制あり)75が基本とされています(「別冊判例タイムズ38号」より)。

このほか、優先道路、明らかに広い道路や、双方同幅員のT字路についても過失割合の認定基準を掲載します。

なお、T字路交差点の脇道は、直線路に突き当たる形状をしているため、「突き当たり路」と呼ばれています。

(以下、目次や見出し等の数値は直線路からの右折車を先にしています)

(以下の表で「*」は修正要素としません)

一時停止規制があった場合の認定基準


T字路交差点の突き当たり路に一時停止規制があった場合の過失割合について、認定基準を掲載します。

         
       
       
         
    右折   車B
  右折  
車A     停止線
         

  車A 車B
走行態様 右折 右折
基本過失割合 25 75



Bが明らかな先入  
Bが一時停止後進入 +15  
Aに著しい過失 +10  
Aに重過失 +20  
Bに著しい過失 -10  
Bに重過失 -20  

優先道路のT字路では20対80が基本


T字路交差点の直線路が優先道路の場合、直線路からの右折車と、直線路への右折車の基本過失割合は、20対80とされています。

         
       
       
         
      右折 車B
  右折    
車A      
         

  車A 車B
走行態様 右折 右折
基本過失割合 20 80



Bが明らかな先入 +10  
Bが一時停止後進入  
Aに著しい過失 +10  
Aに重過失 +20  
Bに著しい過失 -10  
Bに重過失 -20  

直線路が明らかに広いと30対70が基本


T字路交差点の直線路の方が明らかに広い場合、直線路からの右折車と、直線路への右折車の基本過失割合は、30対70とされています。

  〈広路〉    
         
       
       
         
    右折 車B
  右折    
車A      
         

  車A 車B
走行態様 右折 右折
基本過失割合 30 70



Bが明らかな先入 +10  
Bが一時停止後進入  
Aに著しい過失 +10  
Aに重過失 +20  
Bに著しい過失 -10  
Bに重過失 -20  

以上にない同幅員T字路は基本40対60


以上に該当しない、一時停止規制がなく、直線路が優先道路でも明らかに広い道路でもない、同幅員のT字路交差点の場合、直線路からの右折車と、直線路への右折車の基本過失割合は、40対60とされています。

         
       
       
         
       
    右折 車B
  右折  
車A      
         

  車A 車B
走行態様 右折 右折
基本過失割合 40 60



Bが明らかな先入 +10  
Bが一時停止後進入  
Aに著しい過失 +10  
Aに重過失 +20  
Bに著しい過失 -10  
Bに重過失 -20  

T字路事故の修正要素(補足)


上記の認定基準における修正要素について補足します(上記の表で「*」は修正要素としません)。

著しい過失・重過失

以下のページに掲載しています。

明らかな先入

通常、衝突地点、衝突部位等により明らかとなるが、双方の速度差に留意して総合的に判断する必要があるとされています。

一時停止後進入

停止位置で一旦停止すれば直ちに一時停止と認められるわけではありません。
過失割合が軽くなるのは、一時停止をし、左右を見て交差道路を進行する車両の接近を認めたけれど、その速度と距離の判断を誤って、低速度で交差点に進入し、減速しなかった相手と衝突した場合が想定されています。
法規定や裁判例は以下をご参照下さい。


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このページの著者

 弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)