T字路での右折車と右折車の過失割合
双方右折の四輪車同士
T字路交差点で、直線路から突き当たり路へ右折する車と、突き当たり路から直線路へ右折してきた車とが衝突・接触した事故について、過失割合の認定基準をご案内します(四輪車同士について)。
以下の4パターンに分類され、いずれの場合も、基本過失割合は突き当たり路からの車に重く設定されています。
(以下の表で「*」は修正要素としません)
同幅員の場合
T字路交差点の各道路が同幅員の場合、直線路からの右折車と、突き当たり路からの右折車の基本過失割合は、40対60とされています。
右折 | 車B | |||
右折 | ||||
車A | ||||
車A | 車B | ||
走行態様 | 右折 | 右折 | |
基本過失割合 | 40 | 60 | |
修 正 要 素 |
Bが明らかな先入 | +10 | |
Bが一時停止後進入 | * | ||
Aに著しい過失 | +10 | ||
Aに重過失 | +20 | ||
Bに著しい過失 | -10 | ||
Bに重過失 | -20 |
直線路の方が明らかに広い場合
T字路交差点の直線路の方が明らかに広い場合、直線路からの右折車と、突き当たり路からの右折車の基本過失割合は、30対70とされています。
〈広路〉 | ||||
右折 | 車B | |||
右折 | ||||
車A | ||||
車A | 車B | ||
走行態様 | 右折 | 右折 | |
基本過失割合 | 30 | 70 | |
修 正 要 素 |
Bが明らかな先入 | +10 | |
Bが一時停止後進入 | * | ||
Aに著しい過失 | +10 | ||
Aに重過失 | +20 | ||
Bに著しい過失 | -10 | ||
Bに重過失 | -20 |
一時停止規制がある場合
T字路交差点の突き当たり路に一時停止規制がある場合、直線路からの右折車と、突き当たり路からの右折車の基本過失割合は、25対75とされています。
右折 | 車B | |||
右折 | ||||
車A | 停止線 | |||
車A | 車B | ||
走行態様 | 右折 | 右折 | |
基本過失割合 | 25 | 75 | |
修 正 要 素 |
Bが明らかな先入 | * | |
Bが一時停止後進入 | +15 | ||
Aに著しい過失 | +10 | ||
Aに重過失 | +20 | ||
Bに著しい過失 | -10 | ||
Bに重過失 | -20 |
直線路が優先道路の場合
T字路交差点の直線路が優先道路の場合、直線路からの右折車と、突き当たり路からの右折車の基本過失割合は、20対80とされています。
右折 | 車B | |||
右折 | ||||
車A | ||||
車A | 車B | ||
走行態様 | 右折 | 右折 | |
基本過失割合 | 20 | 80 | |
修 正 要 素 |
Bが明らかな先入 | +10 | |
Bが一時停止後進入 | * | ||
Aに著しい過失 | +10 | ||
Aに重過失 | +20 | ||
Bに著しい過失 | -10 | ||
Bに重過失 | -20 |
T字路事故の修正要素(補足)
上記の認定基準における修正要素について補足します(上記の表で「*」は修正要素としません)。
著しい過失・重過失
以下のページに掲載しています。
著しい過失・重過失
明らかな先入
通常、衝突地点、衝突部位等により明らかとなるが、双方の速度差に留意して総合的に判断する必要があるとされています。
一時停止後進入
停止位置で一旦停止すれば直ちに一時停止と認められるわけではありません。
過失割合が軽くなるのは、一時停止をし、左右を見て交差道路を進行する車両の接近を認めたけれど、その速度と距離の判断を誤って、低速度で交差点に進入し、減速しなかった相手と衝突した場合が想定されています。
法規定や裁判例は以下をご参照下さい。
一時停止したかどうか
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)