休業損害(休業補償)
計算は基礎収入と休業日数から
休業損害とは、症状固定までの間に事故を原因として仕事を休業したことによって生じた減収です。
その休業損害の計算では、基礎収入と休業日数を用い、ただし事故を原因とする年次有給休暇や遅刻・早退などによっても休業損害は生じます。
また、計算で用いる基礎収入については、職種や労働形態ごとに異なる捉え方がされています。
休業損害の計算
休業損害の計算において、一般的な計算式は次の通りです。
〔休業損害の一般的な計算式〕 |
基礎収入(日額) × 症状固定までの休業日数 |
休業日数
休業損害の計算における休業日数は、症状固定までの間の、その事故との間に相当因果関係のある休業日数であることを要します。
症状固定とは、これ以上治療を続けても症状が改善しない状態のことであり、具体的には以下のページでご説明しています。
交通事故の症状固定
相当因果関係のある休業日数とは、その事故から通常生ずるであろうと認められる休業日数をいいます。
仕事を休んだ全ての日が計算に入るとは限らず、治療の経過とともに一定の回復をして休業を要しない状態になったとして計算から除外されることもあります。
年次有給休暇・遅刻・早退も
有給休暇は、事故による怪我のために稼働できなくなったり、治療をするために取得したりした場合、労働基準法上の年次有給休暇であれば休業日数としてカウントします。
これに対し、有給休暇ではあっても病気休暇(傷病休暇)など使途が限定されている場合には扱いが異なります。
また、丸一日でなくても、事故の治療や就労制限などのために遅刻や早退、あるいは中抜けをして、それらによる減収が生じた場合も、休業損害の計算対象となります。
給与所得者の休業日数の捉え方
会社員・公務員・パート・アルバイトなど給与所得者の休業日数については、休業日が連続する期間について、勤務先の所定休日も含めてカウントする方法と、所定休日は含めず実際の休業日をカウントする方法があります。
休業損害証明書に記載されている事故前3か月の給与の合計額を90日で割った平均日額に、所定休日を除いた実際の休業日数を乗じて計算すると、損害額が低額になってしまうため注意を要します。
基礎収入
休業損害の基礎収入とは、事故による怪我が症状固定に達するまでの間について、事故がなければ得ていたであろうと評価できる収入です。
被害者の職種や労働形態ごとに異なる捉え方がされていて、例えば会社員・公務員など給与所得者の休業損害の計算では、原則として事故前の現実の給与額が基礎収入となります。
休業損害の基礎収入について、具体的には以下のページで解説します。
「休業損害」と「休業補償」
休業損害のことを、「休業補償」ということもあります。
厳密には、自賠責保険で「休業損害」という言葉が用いられており、労災保険で「休業補償」という言葉が用いられています。
交通事故の賠償では、裁判所や弁護士、保険会社は通常、「休業損害」のほうを用いています。
ボーナスの休業損害
賞与減額証明書や注意点などについて、以下のページでご説明します。
ボーナスの休業損害
主婦(家事従事者)の休業損害
家事の休業損害や、兼業主婦の家事と仕事の休業損害などについて、以下のページでご説明します。
主婦(家事従事者)の休業損害
賃金センサスによる休業損害の計算
休業損害は、政府の統計である賃金センサスを使って計算することがあり、以下のページでご説明します。
賃金センサスによる休業損害の計算
昇給遅延・就職遅延と休業損害
交通事故によって給与所得者に昇給遅延が生じた場合の休業損害や、学生に就職遅延が生じた場合の休業損害について、以下のページでご説明します。
昇給遅延・学生の就職遅延と休業損害
さらに具体的には、ご相談いただけますでしょうか。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)