神経症状の後遺障害
12級・14級・非該当も
手や足などの局部の後遺障害
神経症状の後遺障害は、手や足、首、腰などの局部の後遺障害であり、しびれ・痛み・感覚麻痺などの症状があります。
骨折・脱臼・捻挫などによる例が多くみられ、後遺障害等級は12級か14級に該当する可能性があり、ただし非該当とされることもあります。
当事務所へご依頼いただく交通事故被害者の方では、そうした神経症状を残す方が最も多い割合を占めています。
神経症状は中枢神経の障害からも生じる
神経には、脳・脊髄という中枢神経と、中枢神経から出て身体各部にいきわたる末梢神経があります。
中枢神経である脳は身体各部の感覚を受け取り処理して、身体各部に運動を命令し、脊髄がそれらを伝達しています。
末梢神経は、感覚神経・運動神経・自律神経で構成され、身体各部の感覚を中枢神経に伝え、中枢神経からの命令で筋肉を動かし、また、体温・血圧・内臓機能などを調整しています。
そのうち末梢神経の障害によって神経症状が引き起こされますが、中枢神経の障害から末梢神経の障害が現れて神経症状が生じることもあります。
神経症状の後遺障害等級
交通事故による受傷で生じた神経症状は、症状固定(これ以上治療を続けても症状が変わらない状態)に至って残ることがあります。
そこで後遺障害申請をすると、認定される可能性がある等級として、自賠法施行令の別表第2に規定された12級の「頑固な神経症状」と14級の「神経症状」があり、ただし、後遺障害非該当と認定されることもあります。
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残す |
14級9号 | 局部に神経症状を残す |
非該当 | いずれにも該当しない場合 |
等級が認定されれば、後遺障害による逸失利益と慰謝料を請求することになります。
後遺障害12級の認定
神経症状について、後遺障害12級の「頑固な神経症状」と認定されるためには、画像や神経学的所見などから、医学的に証明できる症状であることが必要とされています。
後遺障害14級の認定
神経症状について、後遺障害14級の「神経症状」と認定されるためには、症状の一貫性や治療経過、神経学的所見などから、医学的に説明可能な症状であることが必要とされています。
むちうち
神経症状のうち、むちうちの後遺障害について以下のページで解説します。
〔関連ページ〕後遺障害の認定理由
(頚椎捻挫・腰椎捻挫などの例)
神経系統の機能又は精神の後遺障害等級
神経症状の後遺障害は、中枢神経(脳・脊髄)の後遺障害とともに、「神経系統の機能又は精神の障害」と呼ばれる枠組みに分類されています。
全体像は以下のとおりで、このうち12級13号と14級9号が神経症状です。
神経系統 の機能 又は 精神に |
著しい 障害を残し |
常に 介護を要する |
要介護 1級1号 |
随時 介護を要する |
要介護 2級1号 |
||
終身 労務に服することができない |
3級3号 | ||
特に軽易な労務以外の 労務に服することができない |
5級2号 | ||
障害を残し | 軽易な労務以外の 労務に服することができない |
7級4号 | |
服することができる労務が 相当な程度に制限される |
9級10号 | ||
局部に | 頑固な神経症状を残す | 12級13号 | |
神経症状を残す | 14級9号 |
神 経 系 統 の機能 又 は 精 神 に |
著 し い 障 害 を 残 し |
常に介護を要する | 要介護 1級 1号 |
随時介護を要する | 要介護 2級 1号 |
||
終身 労務に服することが できない |
3級 3号 |
||
特に軽易な労務以外の 労務に服することが できない |
5級 2号 |
||
障 害 を 残 し |
軽易な労務以外の 労務に服することが できない |
7級 4号 |
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服することができる 労務が相当な程度に 制限される |
9級 10号 |
||
局 部 に |
頑固な神経症状を残す | 12級 13号 |
|
神経症状を残す | 14級 9号 |
ただし、障害が単一であって、「神経系統の機能又は精神の障害」のほかに等級がある場合には、その等級により認定することとされています(たとえば、脳損傷による視野障害、脊髄損傷による胸腹部臓器の障害など)。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)